中国版「海上保安庁」「沿岸警備隊」が目指すもの

中国版「海保」創設を提案 軍少将、効率化が目的

中国軍のシンクタンク、軍事科学院世界軍事研究部元副部長の羅援少将は6日、共同通信などの取材に応じ、海洋権益の保護強化のため準軍事的な組織「国家海岸警備隊」の創設を中国政府に提案していると明らかにした。日本の海上保安庁と同程度の武装を想定しているという。



中国版「海保」創設を提案 軍少将、効率化が目的

 資源確保などのため海洋進出を活発化させている中国は、海洋の管轄が海軍や国家海洋局、農業省漁政局など複数の部門にまたがっている。羅氏は「力を集中させ、指揮権の分散を減らし、効率を高めなければならない」と述べ、警備隊による効率的な海域管理が狙いと強調した。

 羅氏は警備隊の所属については、国家海洋局を「国家海洋省」に格上げし、同省傘下に置くとの案や、関係部局で「国家海洋委員会」を設立し、同委員会に配属させる案を挙げた。



羅援少将、国家海岸警備隊の設置を提案

羅少将によれば、現在の中国の海上法執行権は、海軍以外に9つもあり、それぞれ公安辺防管理局所属の“海警”部隊、交通部所属の“海事”、交通部港監局所属の“海救”、農業部漁政漁港監督局所属の“漁監”“漁政”、国土資源部国家海洋局所属の“海監”、海関総署密輸取締局所属の“海関密輸取締”、“辺防派出所”と沿海の県・郷政府、“捜索救助センター”とサルベージ部門である。

羅少将の提案は次の通り。中国の海上における法執行と救助・捜索権は、多くの部門や各級の政府に分割されており、職務の重複、分散、設備(船舶・航空機)の重複購入や人員の配置など多くの問題が存在している。一括管理する国家海岸警備隊を組織すれば、9つの部門がともに海上を管理する現状を変え、戦略・資源の整備と力の統合が可能になる。



羅援少将:沿岸警備隊を創設すべき

 羅少将は沿岸警備隊の創設によって中国の外交と軍事闘争は選択の幅が広がると指摘。「摩擦が生じた際は、まず沿岸警備隊を前面に立たせる。沿岸警備隊は『準軍事部隊』なので、海事問題が直接軍事衝突にエスカレートすることはない。一方海軍はその揺るぎない後ろ盾として控え、問題が激化した際に強大な力をもって出撃することができる」と述べた。

 沿岸警備隊の装備については現有の「漁政」や「海監」の船舶を整理統合するとともに、海軍の現役または退役間近の先進的艦船を導入し、軍事的資質に優れた要員を配備することを提言。現在の海事当局は文民が多く、軍事訓練を受けたことのない者が大部分であることを指摘した。

 「沿岸警備隊が海外世論に騒ぎや誤った認識を引き起こす可能性」については「沿岸警備隊は外国に多くの先例がある。米国は自らの沿岸警備隊を、日本は海上保安庁を持ち、ロシアは海上国境警備隊と呼んでいる。中国がこうした部隊を創設するのは、軍事闘争の実際の運用面から見ると、世界のスタンダードに合わせることであり、衝突発生時に『兵士が攻めてきたら将軍が防ぎ,洪水になったら土でせき止める』ことに相当する。海軍はこの部隊の後ろ盾であり、最後の決定的な一撃を担う。またわれわれの警備隊は自国の領海内で権力を行使するのであり、非難すべき点はなく、筋道が通った正々堂々たるものだ」と述べた。

中国が海岸警備隊構想 軍主導で権益保護
周辺国を刺激の恐れ

 羅氏は海軍が直接、周辺海域で監視活動にあたれば「軍事衝突に発展しかねない」と述べ、軽装備の準軍事部隊が必要との認識を示した。海岸警備隊の指揮系統については、平時は地方政府が管理するとしながらも「有事には軍の管理下に置くことも可能とする」と明言した。

 中国政府内で海洋関連部局が散在していることには「重複や内輪の消耗が多く、力を分散させている」と指摘。効率的な政策運用のためにも「国家海洋省」が必要だとした。

 一方、軍主導のこうした動きには中国外務省との温度差もみえる。楊潔●(ち)外相は6日の記者会見で「周辺国との間に矛盾や対立はあるが、対話と協調の姿勢で解決したい」と述べ、周辺国との関係改善に取り組む考えを強調した。

 今回、軍幹部が海洋政策にかかわる新たな実行部隊の創設や政府内部局の格上げに言及した背景には、軍が政府の政策立案への影響力を一層強めたいとの思惑もありそうだ。今年秋に中国共産党の新たな指導部が発足するのを前に、海洋政策を巡る主導権争いが始まっている。



「空母も公表国防費内」 中国少将

 西側の軍事専門家の間では、空母の研究開発費は公表分の国防費に含まれてないとの見方が強く、羅氏は反論。中国の国防費は人件費、装備費、活動費に分けられると説明した上で「空母(の改修・試験航行の費用は)装備費に属している」と答えた。

 また羅氏はワリヤーグの就役見通しについて「まだ多くのことを研究しなくてはならない。われわれは初の空母を持ったばかりで、『操作マニュアル』もないような状況だ」と強調。訓練と研究用の空母で、今後も試験航行が続くとの見通しを示した。

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2012-03-08 : 各国沿岸警備隊 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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