都による尖閣購入への圧力か、居座る漁政

東京都による尖閣諸島購入計画。そしてそのための国民からの寄付。4月27日に都が寄付のための講座を開設したが、その後5月1日までの5日間で7000万円以上集まったことが話題になっている。ここまで集まるのなら、やはり都ではなく都知事が独自に基金団体を設置して・・・と思わなくもないが。

東京都尖閣諸島寄附金について

平成24年4月27日
知事本局

 本日、東京都尖閣諸島寄附金口座を開設いたしますので、以下のとおり、お知らせします。


1 寄附金募集の趣旨

 この寄附金は、尖閣諸島の購入・活用のためにあてさせていただきます。


尖閣購入 都への寄付7600万円

東京都の石原知事が、尖閣諸島のうち、3つの島を購入する意思を表明して以降、都には購入のための寄付をしたいなどという意見が多く寄せられ、都は寄付を受けつけるための専用口座を先月27日に開設しました。
都によりますと、1日までの5日間の振り込み件数は合わせて5428件で、入金が確認された額は7600万7211円に上ることが分かりました。また、専用口座を開設して以降、寄付に関する問い合わせは、1日午前11時半までに197件寄せられているということです。

都の尖閣購入募金に7600万…「ありがたい」

 都は来年4月に埼玉県内の地権者と売買契約を結びたい意向で、今月1日に同諸島購入に向けた専従チームを発足させた。都の幹部は「わずか5日間でこれだけ集まるとは思わなかった。関心の高さがうかがえ、大変ありがたい」と話した。

東京都尖閣諸島寄附金 受付状況

これまでに東京都尖閣諸島寄附金の口座にお寄せいただいた寄附金です。

件数 総額
5,428 件 76,007,211 円

平成24年5月1日入金確認分まで

ゴールデンウィーク明けの7日にはさらに金額が増えていることだろう。


都知事の、一見突飛な計画は徐々に国民的な運動になりつつある。これがどのように転がっていくかはまだ分からない。だが、口ではおとなしかった中国も体は正直、圧力とも取れる行動を起こし始めた。

漁政による尖閣諸島周辺海域の遊弋である。

尖閣沖に2隻の中国監視船=「中国海域」と応答-海保

 2日午前9時ごろ、沖縄県尖閣諸島魚釣島西北西約30キロの日本の接続水域で、中国農業省漁政局所属の漁業監視船「漁政204」が南西向きに航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。領海内に侵入しないよう無線で警告したところ、「中国の海域でパトロール中だ」と応答したという。同庁は外務省を通じ中国側に抗議した。

 同本部によると、同10時ごろ、別の中国監視船「漁政203」がほぼ同じ海域を航行しているのを、同庁の航空機が発見した。2隻は正午前までに相次いで接続水域を出た。

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日本の接続水域内を航行する中国漁業監視船「漁政204」
=2日午前9時40分ごろ、沖縄県・尖閣諸島の魚釣島西北西約34キロ(第11管区海上保安本部提供)


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日本の接続水域内を航行する中国漁業監視船「漁政203」
=2日午前9時57分ごろ、沖縄県・尖閣諸島の魚釣島北西約38キロ(第11管区海上保安本部提供)


単に、周辺海域を航行するだけなら「またかぁ・・」と思う人も多いだろう(もっとも、そう思ってしまうことが中国側の「常態化」工作の術中に嵌っているとも言えるのだが)。

航行している漁政も、「310」のような新型ではなく過去にも尖閣諸島周辺に現れた船である。

関連エントリ:中国、尖閣諸島周辺に「漁政」配備へ

 同諸島周辺では、漁業監視船「201号」と「204号」が活動中だという。当局者は中国漁業報に対し、「漁民の生命・財産の安全を適切に保護するため、今後、漁業監視船は釣魚島周辺でパトロール活動を常態化、強化しなければならない」と強調した。

 仙谷長官は、監視船「漁政201」と「漁政203」が27日午前6時の時点でも接続水域内で活動しており、海上保安庁が巡視船6隻を派遣して領海内に侵入しないよう警戒していると説明した。24日に連絡を受け、首相官邸は情報収集態勢を強化した。

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漁政204
尖閣諸島の「常連」である1000トン型に比べ上部構造など船型が一部異なる。旧タイプに相当するものと思われる。

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漁政203
1000トン型に比べ小型。上部構造物も1層のみである。


しかし、今回は今までの航行とは異なる特異な行動を繰り返している。

今までなら、海保が警告しつつ追走・併走し、時間に差はあれど退去していた。だが、今回は退去したかと思ったら再び接近するなどして周辺海域に「居座って」いる。

中国監視船2隻、再度尖閣沖に=海保

 第11管区海上保安本部によると、2日午前に沖縄県・尖閣諸島魚釣島付近の日本の接続水域を航行した中国農業省漁政局所属の漁業監視船「漁政204」「漁政203」が、同日午後6時すぎ、相次いで再入域した。島南西約44キロの海域で、海保巡視船が確認した。
 両船は南南西に向かい、それぞれ約10~20分後に接続水域を出たという。


尖閣接近繰り返す=中国監視船2隻-海保

 第11管区海上保安本部によると、2日午前に沖縄県・尖閣諸島付近の日本の接続水域を航行した中国農業省漁政局所属の漁業監視船「漁政203」「漁政204」の2隻は、同日夜から3日午前にかけ接続水域の出入を数回繰り返した。
 203は午前8時ごろ、尖閣諸島・魚釣島南約44キロの接続水域に再び入った。9時半ごろ水域を出て、南東に向け航行。204は午前7時15分ごろ、大正島の南南東約44キロで再入域したが、10時半ごろ出て東に向け航行している。



南シナ海でのフィリピンとの睨み合いが続き(張子の虎虎の子である「漁政310」のもともとの管轄水域であり、今回はそちらに展開している)、アメリカとの外交関係にも暗雲が垂れ込み始めている現在、さらに日本と尖閣諸島で正面きって対立できないのであろうが、冷静な外交部のコメントとは裏腹に現場では緊張が高まっている。中国は決して尖閣諸島での動きを見逃さないという意思表示であろうか?

昨年8月のように再び、漁政が領海侵犯を行うことも十分ありうる。

関連エントリ:漁政201と漁政31001が尖閣諸島の領海内に侵入

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中国の漁業監視船「漁政201」(上)を警戒する海保巡視船
=24日午前6時30分ごろ、沖縄県・尖閣諸島の久場島沖(第11管区海上保安本部提供)


また、3月に海監が4年ぶりに尖閣諸島領海に侵入したことも背景にあるだろう。

関連エントリ:4年前の悪夢再び、海監50が尖閣諸島領海へ侵入

南シナ海では漁政と海監は連携し、東シナ海では漁政=尖閣諸島周辺での航行・海監=護衛艦・海保測量船への威嚇と役割分担されていた。しかし、海監が2008年以降行っていなかった領海侵犯を行ったのは、最近中国で議論が盛んな統一された沿岸警備隊(海岸警衛隊、中国版海上保安庁とも)構想へのアピールにもなった。この構想では国家海洋局と海監総隊が中心となっており、農業部漁政局は吸収される形だ。

関連エントリ:

外から見れば連携して海洋権益を確保しようとしているように見えても、内部では管轄争い、相当な権力争奪戦が行われていると思われる。

表向き「日本の海上保安庁のようなもの」といいつつ、国際的な潮流に反して軍管轄の沿岸警備隊を創設しようとしていることは、軍との関係が深い習近平副主席が近く国家指導者に就任するのと無関係ではないだろう。

「政治家は無責任な発言すべきでない」 習近平副主席、尖閣購入を牽制

 中国の次期最高指導者に内定している習近平国家副主席は3日、北京の人民大会堂で高村正彦元外相ら日中友好議員連盟(会長・高村氏)の代表団と会談した。習氏は「相手にとって核心的利益、重大な関心を持つ問題については慎重な態度を取るべきだ」と述べ、意見対立の先鋭化を避けるため注意を払うよう求めた。

 「日中の政治家は無責任な発言をすべきではない」とも強調。具体的に何が核心的利益に当たるのかは明言しなかったが、石原慎太郎東京都知事が表明した都による沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)購入方針への牽制(けんせい)とみられる。



このような長期の航行=居座りは、2010年の漁船衝突事件(公務執行妨害事案)直後以来だという。

尖閣沖の中国船、異例の滞在 接続水域の出入り繰り返す

 尖閣沖に今年、中国船が現れるのは5回目。2010年の中国漁船による衝突事件直後は、中国船が尖閣周辺に数日にわたってとどまることがあったという。


事態はそれほどまでに緊迫している。

尖閣諸島の購入は単なる不動産取引ではなく、中国内部の権力抗争を含んだ日中衝突に発展する危険性がある。海保や都はともかく、日本政府と与党民主党にその覚悟はあるのだろうか?

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tag : 尖閣諸島 購入 石原都知事 中国 漁政

2012-05-04 : 尖閣諸島問題 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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