今回も調査捕鯨に海上保安官警乗へ、最大規模の警備体制

以前、当ブログで推測したとおり、今回の調査捕鯨船団にも海上保安官が警乗することが公表された。

関連エントリ:調査捕鯨船団に護衛船の派遣が決定

南極海調査捕鯨:船団に海上保安官同乗 SS妨害対策

 反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」対策のため、海上保安庁は5日、今年度の南極海の調査捕鯨船団と水産庁の監視船に海上保安官を同乗させることを決めた。船団への乗船は07年度、10年度に続き3度目。水産庁からは巡視船出動を求める要請もあったが、「国際法上、巡視船を派遣しても取り締まりは行えず、効果的ではない」として断念した。

結局、農水省が強く求めていた巡視船の派遣は見送られた。

 海賊対処法が成立する以前であれば、日本の国内法における「海賊行為」の定義は明確でなかったため(国際法上「海賊」が規定されていても、警察権執行においては行使側の国内法に基づく)解釈によっては通常の刑法犯である器物損壊や威力業務妨害に相当すると思われるシーシェパードの妨害行為も私的目的の「海賊行為」であると解釈する余地があった。しかし、海上自衛隊の派遣を想定した海賊対処法においては厳密な判断が求められるため、シーシェパードの行為はたとえ危険であっても身体・物品の奪取を目的とした「海賊行為」とは捉えられず、公海上での管轄権行使が極めて困難になってしまったのである。

 このような場合、公海上においては船籍国(旗国)による管轄権行使のみが認められる。例外としては、その旗国が委任した場合(同様のステートメントを正式に発した場合)、他国による法執行が可能となる。

 また、船籍が剥奪され、無国籍船となった場合も海賊行為と同様、万国に公海海上警察権の行使が認められる。もっとも、船籍国の一つであるオランダはそのいずれも実行する気はないようだ。

SS抗議船の旗国オランダ SSの暴力「違法とは言えない」

 SSの暴力は、船舶の安全などを定めた海洋航行不法行為防止条約に違反する疑いがあり、日本側はオランダ政府にSSを取り締まるよう要請。オランダ側はしかし、捜査権を行使して船の拿(だ)捕(ほ)や活動家の立件などに踏み切っていない。

 同当局者はこの理由について、「船団の航海日誌や船員名簿などの証拠の提出を当事国・日本に要請しているが、まだ提出されていない」と話した。

 さらに、反捕鯨派が多数を占めるオランダ国民の総意が、SSの取り締まりに影響を及ぼしていることも示唆した。この当局者は「大半の国民は調査捕鯨を違法とみている」と前置きした上で、「捕鯨反対のデモを行う団体を規制すれば、政府の行為は国民感情と合わなくなる」と指摘した。

オランダにはグリーンピースの本部があるのも反捕鯨の「国民感情」の背景にあるのだろう。更に言えば、そうした環境保護先進国という国際的イメージに傷がつくのを恐れているとも考えられる。

 一方、シーシェパードはこうした反捕鯨感情を利用し資金源としてきた。シーシェパードの活動費だけでなく、代表のポール・ワトソン容疑者の個人収入も増加しているという。

日本たたきで個人収入アップのシー・シェパード代表 ここ6年で4千万円

 米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)代表のポール・ワトソン容疑者(傷害容疑などで国際指名手配中)の2010年の報酬が、前年より2・5万ドル増の12万ドル(約920万円)だったことがわかった。05年に南極海調査捕鯨妨害を開始して以来、ワトソン容疑者が受け取った資金は52万ドル(約4千万円)にもなる。日本への過激な妨害をPRして集めた寄付金で、“私腹肥やし”を行っていた形だ。一方、SSの拠点の1つとなっている英国で、与党保守党の国会議員、ザック・ゴールドスミス氏がSSの資金集めを支援し、英国での後援者となっていたこともわかった。(佐々木 正明)

 一方、SS英国支部も年間収入を増やした。昨年は、33・8万ポンド(約4000万円)と前年より26万ポンド増加した。報告書には「後援者が増えた結果だ」と記され、最大の後援者の1人として、チャリティーイベントなどでSSの活動を支えたゴールドスミス氏の名前を挙げている。

 ゴールドスミス氏は環境保護関連の雑誌編集者を務めた経歴を持ち、保守党の政治活動にも参加。昨年5月、ロンドン市内の選挙区から立候補し当選、下院議員となった。公式サイトには「幅広い分野で環境保護問題に関与している世界中の団体のために資金を集めている」と記されている。

シーシェパードが各国国民の環境保護への意識を反捕鯨へ捻じ曲げる一方で、各国政治家はシーシェパードを支援することによって支持者に環境保護への取り組みをアピールしているという構図が浮かび上がる。

 日本においては、反捕鯨を単に文化の違いによる摩擦や、人種差別、宗教(狂信)的信仰と捉えがちだが、実際には、以前から述べてきた南極における権益確保と同様政治的な動機が見え隠れしている。

 そして、シーシェパードはこうして得た資金を使い捕鯨妨害用の装備を増強させたとのことだ。

シー・シェパードが捕鯨船攻撃用ボートを増強 収入は過去最高額に

 米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)が今期の日本の調査捕鯨を妨害するため、攻撃用ゴムボートを新たに購入するなど装備を補強していたことが分かった。日本への反捕鯨活動をPRして急成長を遂げるSSは昨年、過去最高の収入だったことも判明。ボートには推進力増強の装置が付けられており、1隻1千万円以上かかったとみられる。前回、調査中断を余儀なくされた日本側も対策の見直しを迫られている。

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 関係筋によると、スティーブ号は英国に9月中旬から約1カ月、寄港している間に、船に積んでいたボート2隻を売りに出し、新たに2隻を獲得した。ボートには船外機が付けられ航行速度は時速30ノット超。日本の船団のどの船よりも速い。

 別の抗議船ボブ・バーカー号も今年5月に豪州内で船の改修を行った。船尾にボートの収納施設が整備され、新たにボート1隻が加えられた。

もっとも、収納設備といっても船尾に増設され張り出していたヘリ甲板の下に追加のボートを吊り下げているだけである。

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だが、そうまでして搭載艇の数を増やしたのは、戦術的な意図があるのだろう。Gojira(現:Brigitte Bardot)のような一隻の高速船だけではなく複数の搭載複合艇RHIBでターゲットとしたキャッチャーボートを包囲したり、母船に発炎筒や薬品瓶を集中的に打ち込むことを狙っていると思われる。

 きわめて危険な兆候だ。

 それは捕鯨船団にとって(だけ)ではない。これらの複合艇RHIBに乗せられる使い捨てのボランティアが、である。USCGや海保が運用するRHIBからも分かるように、この手のボートはきわめて軽量で高速だ。その反面、コントロールが難しく、高速航行時には乗員はしがみつくので精一杯となる。

 増強した搭載艇に不慣れなボランティアが乗り込む危険性は十分にある。彼らが勝手に転覆したり船体にぶつけてきたとしても、国際的に非難を受けるのは・・・・おそらく捕鯨船団側だろう。

 ワトソン容疑者の「魔法の銃弾」の次は「ボランティア」を「殉教者」や「英雄」でも仕立て上げるつもりなのだろうか?


 こうした動きをにらんでか、今回派遣される警乗部隊は過去最大規模となるという。

調査捕鯨、海上保安官同乗へ=妨害活動に備え、最大規模

 海上保安庁は5日、今年度の南極海での調査捕鯨について、反捕鯨団体の妨害活動に備え、海上保安官を捕鯨船団と水産庁監視船に同乗させると発表した。
 海上保安官の乗船は2007、10年度に続き3回目。海保は警備上の観点から人数や装備を明かしていないが、過去最大の規模という。

昨年度に続き、調査捕鯨船などに海上保安官乗船

 海保によると、政府は、昨年度の調査捕鯨がシー・シェパードの妨害行為によって中止に追い込まれたことから、海保巡視船の同行も検討していたが、「公海上での活動には制限があり、実効性が薄い」と判断した。乗船する海上保安官の人数は過去最大規模というが、詳細については「安全上、公表できない」としている。

調査捕鯨船に海上保安官が同乗 米反捕鯨団体SSの監視船にも

 調査捕鯨船への海上保安官の乗船は平成19年度と22年度に実施している。この際は妨害行為に対応したことなどを受けてから乗船を公表していた。同庁幹部は「今回は抑止効果を期待して事前に公表することにした。人数や装備、具体的な任務などは警備上明らかにできない」としている。

この点については少数の派遣にとどまると考えていた当ブログの予想は外れたわけである。

 規模が過去最大となった要因は、記事にもあるように母船だけでなく水産庁から派遣される「監視船」にも警乗するためだろう。分散配置して能力が発揮できなければ意味がない。それぞれに最低でも3~4名は配置されるものと思われる。

 最初の派遣では管区特警隊の装備を借りたSSTであることが複数の情報から明らかにされているが、今回部隊規模が大きくなっているため、SSTと特警隊などの混成である可能性も考えられる。また、最初の警乗部隊は採証と警告弾投擲を兼任していたが、今回は専任採証班と対応班に分かれていたり、「監視船」に複合艇(RHIB/GB)を持ち込んでシーシェパードの妨害を阻止することも想定しているのかもしれない(管轄権がなくとも針路規制などの直接的な執行を伴わない活動は可能だと思われる)。

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DSC_0386_l.jpg 
画像は海保の訓練より(SSTではない)


 一時期、国際的な訓練などでメディアへの露出が多かった(というか柿谷氏ががんばったw)SSTだが、最近はPSI演習などへの参加もなく、その姿は再び秘密のヴェールに覆われた。風の噂では各地のPLHで訓練を繰り返していたとも聞くが、今回は事前に公表された実任務である。

 是非とも、シーシェパードにはがんばっていただいてSSTの鮮明な姿を撮影していただきたい。(不謹慎発言により規制
japanesewhalers460.jpg
最初の派遣で警告弾を投擲する警乗部隊。SSTであるとされる。
このときは小銃の持ち込みも公表されていた。

 調査捕鯨が安全に計画通り進められることを願ってやまない。

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テーマ : エコテロ・シーシェパード
ジャンル : 政治・経済

tag : 海上保安庁 特殊警備隊(SST) 警乗 海賊行為 捕鯨・反捕鯨 シー・シェパード 捕鯨船 調査捕鯨 水産庁 取締船

2011-12-05 : 捕鯨・環境問題 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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No title
ttp://blog.u-ai.shop-pro.jp/?eid=861382#sequel
↑出港を待つ謎の白い捕鯨船(公船)
12/5の時点では放水銃と複合艇の搭載は見当たりませんね。
2011-12-06 00:36 : 謎の捕鯨船 URL : 編集
Re: No title
おお、ついに「監視船」の情報が出始めたようですね。

ttp://blogs.yahoo.co.jp/bobi_mama_1222/52335390.html

第二昭南丸が「監視船」として傭船されたのですか。

船体まで塗り替えファンネルにも水産庁を示す「お水」マークになっています。まさしく水産庁の「取締船」のようです。が、ご指摘のとおり、本格的な改装の形跡はないようで・・・この船体規模だとRHIB/GBの搭載もちょっと難しいかもしれません。それこそシーシェパード側と同じような改装でもしなければ。

なんというか、鳴り物入りの「監視船」もキャッチャーボートの傭船となると以前とあまり代わり映えしませんね。
上乗せ要員を派遣する海保が「最大規模」と、ちょっと張り切っちゃった感すらある。
もっとも「公船」がその場にいるという効果は大きいと思われますが・・・さて、どうなることやら
2011-12-06 02:32 : 蒼海管理人 URL : 編集
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