意外に早く「解決」した隠岐の北朝鮮漂流船騒動

十日ほど前、日本は一見粗末に見える小さな船で大騒ぎとなった。
その小舟には3人の男性と一人の遺体が乗っていた。彼らは北朝鮮から来たと言った。

日本中の誰もが昨年9月の脱北者騒動を思い起こしただろう。

しかし結局のところ、彼らは漂流してきた遭難者として決着が図られ、中国経由で帰国したのだが、まずはそれまでの流れを振り返ってみよう。

隠岐島周辺に不審船 数人乗船、脱北者か

 島根県・隠岐島に近い海域で6日、不審な船がいると警察を通じて海上保安庁に通報があった。海保が乗っていた数人から事情を聴いているもよう。

 政府関係者によると、船体にはハングルが書かれていた。海上保安庁などは北朝鮮からの脱出者が乗っている可能性があるとみている。船は小型の木造船1隻で、いかりを下ろしていたという。

この「不審船」を発見した市民が隠岐の島署に通報、そして同署から隠岐海上保安署に連絡があったという流れだ。理想を言えば直接の118通報であったほうがよかったかもしれないが、警察を経由したことで情報の精度、通報者の確認が取れたとも言える。

 その後、隠岐海上保安署巡視船「さんべ」及び境海上保安部「きそ」が出動。防弾装備の海上保安官が当該の「不審船」へと乗りこんだ。そこには3人の生存者のほか一人の遺体が発見されたのである。

 彼らは「北朝鮮」から来たようだった。そうなれば思いつくのは「脱北」だが、そうではないという。

不審船:船内に性別不明の1遺体 「流された」脱北は否定

 島根県の隠岐の島沖で発見された、北朝鮮籍とみられる小型船について、海上保安庁は6日、船内から性別不明の1人の遺体が見つかったと発表した。船には他に3人の成人男性が乗船。男らは「北朝鮮で漁業に従事していたところ、エンジン故障のため流された」と説明しており、「脱北者」であることを否定しているという。



隠岐島沖の漂流船「機関故障、北朝鮮から来た」 脱北は否定

 船体にハングルが書かれており、脱北者の可能性もあるとみられたが、8管本部は遭難とみて調査。3人を巡視船に収容し、隠岐島沖から鳥取県境港市近海に移動した。

 8管本部や県警などによると、船は小型の木造船。隠岐の島町南西部の那久岬から西へ約1キロの領海内でいかりを下ろした状態で発見。3人に疲労は見られるがけがはなく、命に別条はない。船内に食料や水は残っておらず、漁具もなかった。エンジンは壊れていた。

彼らの言うことが事実なら、脱北者や工作員ではなく、遭難者ということになる。事実、小型船のエンジンは故障していた。

隠岐諸島に北朝鮮船=乗船3人「脱北でない」-1人の遺体も、「漁中に漂流」・海保

 複数の関係者によると、3人は昨年12月に北朝鮮から出港したが、「われわれは脱北者ではない。遭難した。北朝鮮に帰りたい」と話している。けがはないという。
 同庁や第8管区海上保安本部(京都・舞鶴)によると、木造船が見つかったのは、隠岐の島町那久漁港の南西約1キロ沖の日本領海内。海保関係者は「工作船の可能性は低い」としている。
 3人は漁師で、「操業中、エンジン故障のため漂流してきた」と話しているという。発見時、船はいかりを下ろしており、エンジンは実際に壊れていた。

日本「政府高官」もそれを認める発言を行った。

隠岐の不審船「脱北ではなく遭難」 政府高官

 政府高官は6日午後、島根県・隠岐諸島の隠岐の島周辺で不審船に乗った脱北者とみられる3人が見つかった問題で、「(3人は)脱北者ではなく、遭難したようだ」と述べた。3人の国籍はなお不明だが、同高官は、北朝鮮出身者であることを示唆した。

船内に残されていた遺体も、遭難した厳しい状況を裏付けるものだった。一方で、今までの北朝鮮脱北船には見られない「あるもの」も発見されている。

北朝鮮漂流船:「1人は徐々に衰弱し数日前に死亡」

 島根県隠岐の島町の隠岐諸島近海で北朝鮮の漂流船が見つかった問題で、第8管区海上保安本部(京都府舞鶴市)は保護した男性乗組員3人を鳥取県境港市沖に移し、7日、巡視船内で事情聴取した。3人は「4人で出港してきた。(遺体の男性は)徐々に衰弱し、数日前に亡くなった」などと説明。8管は遺体を検視し、死因を低体温症と発表した。死後1週間で、事件性はないとみられる。3人は7日夜も巡視船内に泊まらせる。

 漂流していた木造船(全長約7メートル、幅約2メートル)は隠岐の島町の西郷港にえい航して検分。食料はなく、水と油のタンクはともに空だった。GPS(全地球測位システム)があったが、エンジンは使えない状態だった。漁具はなかった。発見当時はいかりが下ろされ、3人は布のようなものをかぶっていたという。


漂着小型船にGPS 船内の男性は数日前に衰弱死か

GPSだ。推定するにハンディ式の簡易レシーバーだろう。この存在が(漁具を積んでいなかった事実と並んで)日本の対応にちょっとした波紋をもたらすことになる。

一方、海上保安庁は対応に頭を悩ませていた。脱北者であっても大きな問題となるのだが、今までの事例がある。しかし、「通常の」海難漂流者というのはあまり例がない。もちろん洋上で北朝鮮船を救助したことは何度もあるが、日本まで漂着したとなれば別問題だ。

木造船への対応 海保など慎重検討

海上保安部などによりますと、3人は北朝鮮に帰りたいなどと話したということですが、北朝鮮の船が脱北ではなく日本の沿岸に漂流した初めてのケースで、必要な手続きの方針を立てたり、聞き取りを行ったりするのに時間がかかるとみられ、海上保安部は入国管理局などと連携しながら、慎重に今後の対応について検討を続けていくものとみられます。


北朝鮮への制裁がない時であれば、日本に寄港している北朝鮮貨物船や北朝鮮へ向かう予定の外国船に船員と船体を積んで運んでもらうという手もあったが、現在、日本へ北朝鮮籍や同国へ向かう船は入港できない。

隠岐沖の漂流船員、帰国を希望 8管本部など移送法協議

 8管本部によると3人は鳥取県境港市沖に停泊中の海保の巡視船で聴取を受けており「北朝鮮から4人で出港し漁の途中で漂流した」と帰国を望んでいる。

 8管本部は入国管理局などと北朝鮮への移送方法について協議を進めており、3人を遭難者として法務省の大村入国管理センター(長崎県大村市)にいったん収容する可能性もある。

検討されていたのは、脱北者への対応と同様、一旦入管の施設へ移送するということだった。

漂流3人、入管施設移送で検討 脱北以外の帰国希望「前例なし」

 8管本部によると、3人は「北朝鮮から4人で出港し漁の途中で漂流した」と帰国を希望。脱北ではない北朝鮮の船が日本の領海内に漂着し、船員が帰国を望むのは前例がないといい、海上保安庁や法務省、外務省など関係省庁は7日、北朝鮮への移送ルートや日本への上陸を許可する場合の法的根拠について協議した。

 海保などは3人を、遭難者として法務省の大村入国管理センター(長崎県大村市)にいったん移す方向で検討している。


 今までの脱北者の時と同様、総連や民潭の動きが始まった。もっとも、今回の場合、本人たちも帰国を望んでいるので、民潭のほうはそこまで活発ではなかったようだ。そして総連の要請は一部予想よりも早く実現し、一部では叶わなかった。

漂流船3人の帰国要請 朝鮮総連県本部

 この日、朝鮮総連県本部常任委員会の朴井愚(パクチォンウ)委員長らが境海保を訪れ、江頭正人次長に、3人を鳥取県から直接、中国経由で北朝鮮に帰国させることと、遺体を米子市で火葬し、遺骨を帰国する3人に託すよう要請した。

 江頭次長は今回のケースが遭難であるとして、3人の意思を尊重して人道的に対応すると答えたといい、朴委員長は「対応を聞いて安心している。本人たちの希望通り、速やかに故郷に帰国させる措置をしてほしい」と話した。

また、彼らが漂流していたことを裏付けるかのように、北朝鮮で起きた大きな「イベント」を彼らは知らなかったという。

北朝鮮漂流船:乗組員「金正日総書記死去は知らず」と話す

島根県の隠岐諸島沖で見つかった北朝鮮の漂流船の男性乗組員3人が、「昨年12月12日に漁のため出港した。将軍様(金正日<キム・ジョンイル>総書記)が亡くなったのも(保護されるまで)知らなかった」と事情聴取した海上保安庁に話していることが、関係者への取材で分かった。


「将軍様」の死去と交代以降も、ほとんど動きのなかった日朝間にも今回の「事件」を機に接触がもたれた。

島根・北朝鮮漂流船:乗組員の帰国、北朝鮮が要請 近く非公式協議

 島根県隠岐の島町の隠岐島近海で北朝鮮の漂流船が見つかった問題で、北朝鮮政府が生存乗組員の男性3人を帰国させるよう日本政府側に求めてきたことが8日、分かった。

日本と北朝鮮は国交がないため政府間の正式な交渉ルートはないが、政府関係者によると、北朝鮮は北京の大使館ルートを通じて帰国を要請してきた。


本人たちも帰国を希望しており、海難での漂流者である以上、日本側も長期間滞在させることはできない。思いのほか早く日朝間で合意に達した。

隠岐の漂流船乗組員、北朝鮮に帰国へ 日朝が合意

 日本と北朝鮮両政府は9日、島根県・隠岐島近海で見つかった漂流船の生存乗組員3人について、中国経由で北朝鮮に帰国させることで合意した。同日午後にも航空機で北京に移送する。3人とも帰国を求めているため、人道的見地から遭難者として速やかに帰国手続きを取るのが望ましいと判断した。日本政府関係者が明らかにした。

その後の動きも早かった。結局長崎の入管センターに移送することなく、すぐに経由地である中国へ向けて出発したのである。

漂流船乗組員が帰国へ 鳥取から移送開始日朝が合意、北京経由で

 合意を受け第8管区海上保安本部(舞鶴)は同日午前、3人を鳥取県境港市沖に停泊中の巡視船から、ヘリで同市の美保航空基地に移送。3人はその後、空路で福岡空港に向かった。同空港から出国する見通し。

 関係者によると、船内で見つかった1遺体については、当面、境港市の境海上保安部に安置する見通し。

 ヘリ搭載巡視船からヘリ、海保航空基地で航空機へ乗り換え、国際便の待つ福岡空港へ。今までの脱北者移送と同様、海保の船艇航空機や施設を活かし、外部との接触を絶った状態での素早い移動となった。違う点は最終目的地が亡命先ではなく、彼らの祖国というところだろう。

北朝鮮、隠岐島近海で発見の小型船乗員3人について早期の帰国要請 3人の移送開始

北朝鮮の漂流者3人、帰国へ…基地にヘリ移送

 島根県・隠岐諸島沖の日本海で北朝鮮から来たとみられる小型木造船(全長約7メートル)が発見された問題で、保護されていた成人男性3人は9日午前、鳥取県境港市沖の美保湾に停泊している第8管区海上保安本部の巡視船「だいせん」からヘリコプターで美保基地に移送された。


ただし、遺体については総連の要請のように火葬して彼らに持たせるということは出来ず、今後の扱いは未定だ。

北朝鮮の漂流船員3人が出国 日朝合意、中国経由帰国へ

 船内で見つかった1遺体は、当面、境港市の境海上保安部に安置。今後の取り扱いは「分からない」(同海保)としている。

漂流船乗組員3人、大連で北朝鮮側に引き渡し

 3人の早期帰国にはメドがついたものの、遺体をどう扱うかは決まっていない。外務省幹部は「遺体の扱いが決まらないことで、生存者の帰国を遅らすべきではないと判断した」としている。


遺体の取扱について話し合うために、その後も日朝間で何度か話し合いがもたれている可能性がる。

漂流船は陸上で保管

 北朝鮮から隠岐の島町沖に漂流してきた木造船の3人が9日、海上保安庁の航空機を経て中国へ出国した。同町の西郷湾に残された船は、陸上に引き揚げられ、湾近くの民間会社の倉庫に移された。今後の処分について第8管区海上保安本部は未定としている。

 午前11時15分ごろ、湾内の建設業者のクレーンが船を釣り上げると、海上保安官や隠岐の島署員らが船底を見上げ、不審物がないか調査した。その後、トレーラーに乗せられ、10分ほどの距離にある保管先の倉庫に移動した。

国交がなく制裁措置で北朝鮮籍船や北朝鮮へ寄港する船の日本への入国が禁止されているため北朝鮮からの返還要求があったとしても返還するのは難しいだろう。中国経由などで帰すほどの価値があるとも思えない。おそらく昨年の脱北船と同様、一定期間の後に処分されるものと思われる。

脱北者の木造船を廃棄処分(日刊スポーツ)

 石川県の能登半島沖で9月に保護された脱北者の男女9人が乗っていた木造船を、海上保安庁が既に解体、廃棄していたことが14日、海保関係者への取材で分かった。9人は10月に韓国へ移送されており、海保による調査終了を受け、船体保存の必要がなくなったための措置という。

 07年に青森県深浦町で脱北者4人が保護されたケースでは、海保は乗っていた木造船がレーダーで捕捉できるか検証実験をしたが、今回は必要なしと判断し、実施しなかった。

 海保関係者らによると、木造船は、9人が保護された後、金沢港内の民間倉庫に保管され、その後、石川県の七尾港にある海保の倉庫へ移された。長さ約8メートルで、中国製のエンジンを搭載。比較的新しく、防水と腐食防止のため表面にはタールが塗られていた。今月9日ごろに解体、廃棄されたという。




今回の「事件」については、日朝間での合意が早く実現したため、当初の報道ほど大きくは騒がれなかった。しかし、その一方で、海保の海上警備体制や、早期に帰国させた日本政府への対応についての批判も出てきている。その点については、今後のエントリで詳しく見ていきたい。

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tag : 海上保安庁 北朝鮮 領海警備

2012-01-17 : 北朝鮮問題 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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