ソマリア海賊問題と海保・インドコーストガードの連携強化・・・そして、サンケェ

海賊続々 自由に行くぜ…アニメも戦隊ヒーローも

 海賊がそこかしこに出現している。と言っても、ソマリアや東南アジアでなく、フィクションの世界のおはなし。本来、非情な略奪者だったはずなのに、閉塞(へいそく)した時代を吹き飛ばす自由なヒーローのようにもてはやされている。

 「正義の味方」であるはずの戦隊ヒーローもいまや海賊だ。放送中の「海賊戦隊ゴーカイジャー」に主演する小澤亮太さんは「何にも縛られず、ちょいワル。でも、根はまっすぐで、仲間を思う気持ちも強い」と海賊の印象を話す。「『ワンピース』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』が好きで、そこで築かれたイメージで演じている」

〈はじめてのONE PIECE〉「友情・努力・勝利」、王道を行く

ONE PIECE人気の理由:大人も夢中強いメッセージ

このように日本では「自由」や「正義」、「友情」の象徴、民衆の味方、ヒーローとして見られることの多い「海賊」だが、国際社会においてはいまだ「海賊」はシリアスな問題である。

世界的には海賊事件の件数そのものは減少傾向にあるものの、ソマリアの海賊はアデン湾から周辺海域に「拡散」しつつあるという。

世界の海賊事件が減少 11年は439件

 国際海事局(IMB)海賊情報センター(クアラルンプール)は19日、2011年に世界で発生した海賊事件(未遂も含む)の総数は439件だったと発表した。前年比で6件減少し、07年以来の増加傾向に歯止めがかかった。

 45隻の船が乗っ取られ、乗組員802人が人質になったが、いずれも過去最悪を記録した前年の53隻、1181人より減少した。11年の死者は8人。日本企業が運航、管理する船の被害は20件だった。

依然としてソマリアでの海賊被害が半数以上を占めているが、乗っ取り事件は減少し各国海軍による海賊グループの撃退も多い。その反面そうした取締りから逃れるため、ソマリア海賊は活動範囲を広げているとみられている。

ソマリア海賊 活動範囲拡大か(NHK 1月20 リンク切れ)

IMB=国際海事局が、19日に発表したところによりますと、去年1年間に世界各地の海で発生した船舶の襲撃事件は439件に上り、このうちソマリアに拠点を置く海賊によるものとみられるものが、全体の半数を超える237件に上りました。これは、おととしよりも18件増えて過去最も多い数で、一連の事件で合わせて8人が殺害され、470人が人質となりました。ソマリアの海賊は、ロケット弾で武装するなど凶悪化が進んでいることから、去年7月には日本の自衛隊が隣国のジブチに活動拠点を開設し監視体制を強化するなど、各国が警戒を続けています。

ただ、各国が重点的に監視しているソマリア沖のアデン湾での事件は減っているものの、逆にアラビア半島沖のインド洋やアフリカ南部では事件が増えており、国際海事局は、「海賊が各国の監視の目を盗んで活動の範囲を広げている」との見方を示しています。このため国際海事局は、船主に対し、危険な海域を通る際には最新の情報を集め警戒を怠らないよう呼びかけています。

日本では大きく報じられなくなったがソマリアの海賊問題は依然として国際社会の脅威であり、各国が連携しつつ対応している。時には、対立している国同士でさえ助けあわなければならない状況だ。

米海軍 イラン漁民救出

米海軍中央司令部は六日、アラビア海で展開中の空母「ジョン・C・ステニス」艦隊の駆逐艦が、海賊に乗っ取られた漁船からイラン人乗組員十三人を救出したと発表した。

 同司令部によると、駆逐艦が五日、イラン漁船に横付けされている海賊船とみられる小船を発見、同時に漁船から救難信号を傍受した。駆逐艦の兵士らが漁船に乗り込み、ソマリア人とみられる海賊十五人を拘束、空母に護送した。

 漁船は四十~四十五日前に海賊船に襲われ、乗組員は船内に監禁されていた。救出部隊は衰弱していた乗組員に食事と水を与え、必要な手当てもしたという。

イランが米海軍によるイラン人船員の解放を歓迎

イラン外務省のメフマーンパラスト報道官が、アメリカ海軍により、ソマリアの海賊からイランの船舶とその乗組員13名が解放されたことを歓迎しました。

また、メフマーンパラスト報道官は、このアメリカ海軍の措置を肯定的に評価し、「これまで、イラン海軍が、他国の船員を、海賊から救出しているのと同様に、すべての国々は、自らの能力に応じて、海賊に対処するために努力する責任がある」と述べました。

NATO、海賊からイラン人救出 威嚇射撃で

北大西洋条約機構(NATO)は9日、ソマリア沖で、海賊に捕らわれていたイラン人5人とパキスタン人9人の計14人を救出したと発表した。米国が5日に船員13人を海賊から解放したのに続くイラン人救出となった。

 NATO傘下のデンマーク艦船が7日、海賊に乗っ取られたイラン船を追跡し、威嚇射撃で停止させた後、船に乗り込んでイラン人乗組員らを助け出した。海賊とみられる25人の身柄も拘束した。

こうした海賊対策を行っているのは、いわゆる西側諸国、欧州諸国(アメリカ、EU、NATO)の海軍だけではない。ロシアも(太平洋艦隊からも)早い段階で、中国は日本が参加する直前に商船護衛の部隊を派遣している。

ロシア太平洋艦隊 第7回遠征部隊 アデン湾で商船護衛

ロシア太平洋艦隊第7回遠征部隊は、海賊による襲撃が多発しているアラビア海での商船護衛の任務を遂行した。マルタ船籍およびトルコ船籍の商船が含まれていた。

大型対潜哨戒艦「アドミラル・トリブツ」の護衛のもと、商船隊はアデン湾を通過し、中東および欧州の各目的港への向かった。

中国、アデン湾の護衛部隊へ祝福

 春節を前に、中国国家交通運輸省はネットビデオを通じて、ソマリア沖のアデン湾で護衛任務を実行中の海軍第十護衛隊の兵士たちに新年の祝福とメッセージを伝えました。

 当地時間21日午前9時ごろ、国家工津運輸省の徐祖遠次官はネットビデオを通じて海軍第十護衛隊の兵士たちに新年の祝福を伝えました。護衛隊の李士紅指揮官は護衛隊を代表し、「祖国の人民の関心をエネルギーとし、護衛任務に努め、全力で戦う精神を発揚し、厳密に法律に従い、臨機応変にハイレベルな護衛任務を遂げたい」と述べました。


そして、日本も各国に後れを取ったものの、ソマリア沖への部隊派遣に参加し、今では護衛の実績を重ねている。

海賊対処12月実績 護衛約70隻、哨戒飛行18回

 防衛省は1月12日、ソマリア沖アデン湾で民間船舶の護衛活動や警戒監視に当たる海賊対処派遣部隊の12月分の護衛実績とP3C哨戒機の活動状況を公表した。
 水上部隊の護衛は計10回、護衛隻数は日本籍船1、日本の事業者が運航する外国籍船10、その他の外国籍船59隻。航空隊P3C哨戒機の飛行回数は計18回、確認した商船数約1540隻。護衛艦や他国海軍艦艇、民間商船への情報提供は約160回。12月5日には警戒監視中のP3Cが梯子などを積んだ不審船を発見、付近を航行中の米海軍艦艇や民間船舶に通報した。

もう、当たり前のことになってニュースバリューがなくなったのか大きく報じられないが、つい先日も海上保安官の派遣捜査隊を含んだ海自水上部隊と陸自の警備隊と海自P-3Cの統合部隊が交代として日本を発った。

ソマリア派遣部隊を見送り、田中防衛相/横須賀

 田中直紀防衛相は21日、横須賀市の海上自衛隊を視察し、「むらさめ」と「はるさめ」の護衛艦2隻で編成する第11次派遣海賊対処行動水上部隊の出港を隊員家族らとともに見送った。田中防衛相の海自視察は就任後初めて。

 防衛相は、ソマリア沖アデン湾方面で船舶の護衛に従事する同部隊の出国行事開会式で「海上輸送を脅かす海賊行為の防止は重要な課題だ。諸君の双肩には日本国民と国際社会からの大きな期待が向けられていると自覚し、任務を完遂してください」と訓示した。

 第11次部隊は護衛艦2隻で隊員総数は380人。海上保安官8人が同乗する。

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撮影:見送りに参加した横須賀勤務の友人


ソマリア海賊対策へ厚木基地から100人が出発、初の女性隊員も/神奈川

 アフリカ・ソマリア沖で海賊対策を担う海上自衛隊と陸上自衛隊の統合部隊の本隊100人が30日、厚木基地(大和、綾瀬市)を出発した。部隊の派遣は9回目で、同基地からは2010年10月に続き3回目。今回は初めて女性隊員2人が参加した。

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哨戒機P3Cの前で肩を組む中村2曹(左)と岡村3曹=厚木基地


ちなみに、派遣部隊の拠点が置かれているジブチは、治安が悪化しており外出ができない状態が続いているという。またそれだけでなく、テロ攻撃の危険も増している。このテロについてはソマリア問題と深くかかわっている(後述)。


さて、海賊との戦場はなにもソマリア周辺の海上だけではない。現在、日本国内においても「海賊との戦い」は続けられている。

それは法廷で、だ。

3月11日、その直後に起きた東日本大震災の影響でほとんど報じられなかったが、ソマリアから海賊を移送するために海保のガルフVが飛び立っていた。

関連エントリ:逮捕状発行、海賊移送のために海保ガルフV出発へ
海保G-Vが出発・日本が海賊を引き受ける理由
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自国へ移送しての海賊裁判と言えば、韓国での実例があるが、日本も同様になかなか公判を進めることができなかった。

タンカー襲撃事件で海賊のソマリア人少年を起訴

 インド洋オマーン沖で商船三井のタンカーが襲われた事件で、東京地検は1日、海賊対処法違反(運行支配未遂)罪で自称ソマリア人の少年を起訴した。少年は裁判員裁判で審理される。

 この事件では他に自称ソマリア人の成人2人と少年1人が起訴され、公判前整理手続き中。

これは容疑者のソマリア人少年が当初は21歳と証言したものの、どうやらそうではないらしいことが分かって一旦控訴棄却され家裁送致となり、今度は家裁から「刑事処分相当」として検察官送致され再び起訴されたものだ。どうしてこのようなややこしい事になったかというと、現在の報道に至っても「自称」がついているように彼らの身分を証明する記録がないからだ。ソマリアから取り寄せることができないのではない。おそらくソマリアにも存在していない。

 ソマリアの状況はそれだけ酷いものなのである。

 海賊対処は各国が進めている一方で、ソマリアの国内状況(国と言っていいのかすら危うい)は改善されるどころか悪化している。最近も同地で活動していた大きな援助団体が活動の停止を発表した。

ソマリア:スタッフ殺害の影響で、一部の活動を終了(国境なき医師団MSF)

2011年12月29日にソマリアの首都モガディシオで起きた国境なき医師団(MSF)スタッフ、フィリップ・アベとアンドレア・カレル・ケイルフ医師が殺害された痛ましい事件を受けて、MSFは首都にあるホダン地区内の活動をすべて終了せざるをえなくなった。これにより、栄養失調、はしかとコレラ治療を行っていた、ベッド数120床を備えた2つの医療施設も閉鎖になる。

この地区内の活動終了で、モガディシオ市内でのMSFの援助活動は半分の規模となる。

MSFの事務局長、クリストファー・ストークスは述べる。
「医療チームが日々、現場で命を救っているのは紛れもない事実であり、ホダンでの活動終了は苦渋の決断です。しかし、スタッフ殺害という残虐な事件のあと、この地区で活動を続けることは不可能です」

赤十字、ソマリアで食料輸送停止=「品質検査」で妨害

赤十字国際委員会(ICRC、本部ジュネーブ)は13日、飢餓に見舞われているソマリアで実施していた食料輸送を一時中止する方針を明らかにした。イスラム武装勢力の支配地域でトラックが足止めされるなどし、活動再開のめどが立たないため。

イスラム武装勢力は、さらに周辺国でも外国人の誘拐を繰り返しており、業を煮やしたケニアがついに派兵、最近もソマリア国内の拠点を爆撃した。

ソマリア空爆、60人殺害=ケニア軍

AFP通信によると、ケニア軍報道官は7日、同国空軍の戦闘機が6日に隣国ソマリア南部にあるイスラム過激組織アルシャバーブの拠点数カ所に攻撃を加え、武装勢力少なくとも60人を殺害したことを明らかにした。アルシャバーブ側はこれを否定している。

また、ジブチもAU(アフリカ連合)部隊として派兵を発表。これにより、イスラム組織側がジブチ軍および同国内へのテロ攻撃を行う旨の声明を出した。

ジブチ:ジブチ軍のソマリア派兵に伴うジブチ国内治安への影響に関する注意喚起

1 12月14日,ジブチ政府はアフリカ連合(AU)の枠内でソマリアに自国軍を派遣することを正式に発表しました。報道によれば,これを受けて16日に,ソマリアのイスラム過激派テロ組織「アル・シャバーブ」が,これらソマリアに派兵されるジブチ軍を攻撃する旨の声明を出しました。
従来より,アル・シャバーブはソマリア暫定連邦政府を支援する外国に対しては報復する旨明らかにしており,ソマリアに軍隊を派遣しているウガンダやケニアの国内では,過去アル・シャバーブによると思われるテロ事案が各々発生しています。

2 現時点で,ジブチ国内における具体的なテロ情報には接しておりません。しかしながら,これまでも渡航情報(危険情報)にてお知らせしているように,ジブチ国内には米軍,フランス軍の基地,ソマリア沖海賊に対処する自衛隊拠点があるほか,各国軍隊がジブチを拠点に活動しており,これらの基地,拠点,艦艇及び航空機を狙った攻撃が発生する可能性があります。また,欧米諸国の大使館や欧米資本のホテル,レストラン,バー,学校等もテロの標的とされる可能性がありますので,ジブチに渡航・滞在される方は,テロに巻き込まれないよう、十分な注意を払って下さい。


また、こうしたテロ組織・武装集団と海賊との関係も以前から疑われている(が、確定した情報はない)。身代金のために誘拐するという手法そのものはソマリア海賊と変わらない。

ソマリアで米国人技師誘拐

 ソマリア中部ガルカヨで21日、米国人技師が武装集団に誘拐された。AP通信などが伝えた。武装集団の背景は不明。

 ガルカヨでは昨年10月、デンマークの地雷除去団体のスタッフとして働く米国人女性とデンマーク人男性が武装集団に誘拐されたばかりだが、関連は不明。

そして、ついにアメリカ軍の部隊が再びソマリアの地に降り立った。フランス軍部隊が内陸に移送された海賊による人質を救出するために投入されたことがあったが、この地に嫌な思い出があるアメリカ軍が活動するのは珍しい。

 投入されたのは、ビンラディン暗殺で勇名を馳せたSEALs Team6だ。この部隊はSEALsのほかのチームとは少し異なるのだが、説明は省く。

米特殊部隊、ソマリア海賊から人質救出

 海賊による外国人誘拐が相次ぐアフリカ東部ソマリアで25日、米海軍特殊部隊(SEALS)が同国中部の海賊の拠点を急襲、人質になっていた援助団体メンバーの米国人1人とデンマーク人1人を救出した。ロイター通信などが伝えた。ソマリアでの人質救出に軍が投入されるのはまれ。

 2人は昨年10月、地雷除去のスタッフとして勤務中、武装集団に誘拐され、行方不明となっていた。AP通信によると、2人を救出したのは、昨年5月にパキスタンで国際テロ組織アルカーイダの指導者、ウサマ・ビンラーディン容疑者を殺害した部隊。デンマーク政府高官は「人質の1人の病状が深刻で救出を急ぐ必要があったため」と説明している。

また、さらにアメリカ海軍は退役予定の揚陸艦ポンスを特殊作戦母艦(コマンドー母艦)に改造、ソマリア沖に展開させる計画もあるという。

米海軍精鋭「SEALS」母船、中東に派遣か

米紙ワシントン・ポスト(電子版)は28日、米国防総省が海軍特殊部隊「SEALS」の洋上拠点となる大型母船を、今夏までにペルシャ湾などの中東域に派遣する方針だと伝えた。

 退役予定の揚陸輸送艦1隻を改造し、小型高速艇やヘリコプターも搭載する。

 母船は数か月間の洋上展開が可能で、展開海域としては、イランが封鎖を警告しているホルムズ海峡につながるペルシャ湾や、海賊が横行するソマリア沖などが想定されるという。

Navy wants commando ‘mothership’ in Middle East

あれほどソマリア国内にかかわることを避けていたアメリカ軍も腰を上げざるを得ないのはなぜか。それは今やソマリアが内陸に至るまで「海賊産業」に支えられつつあるからである。

ソマリア海賊の身代金、地元経済に「貢献」 内陸部開発で

 アフリカ東部ソマリア沖で頻発する海賊の問題で、英国ブルネル大学の研究者は15日までに、船舶奪取や乗員の拉致で得た身代金は地元経済の発展に明らかに寄与しているとの報告書をまとめた。

ソマリア沿岸部などの市町村の変遷を撮影した高解像度衛星写真の比較調査や地元での牛の価格動向などを調べた上での結論で、ガロウェやボサッソなど内陸部の場所では以前なかった無線塔、壁の構築や新たな建物が確認されたと指摘。

主要産業は「海賊」 ソマリア、身代金で住宅開発

 海賊一件当たりの身代金は08年当時は平均69万~300万ドルだったが、10年に同900万ドルに急騰。これに対して、プントランド自治政府の年間予算は1760万ドル。海賊はなくてはならない地域の“主要産業”になっている。

 ソマリアでは20年以上も内戦が続き、自治政府などが海賊を抑えるのは難しい。チャタムハウスのミドルトン元研究員は「海賊対策費は身代金被害総額の50倍近くに達しており、海賊に代わる地域産業の育成など抜本的な対策の見直しが必要だ」と指摘している。

しかも、単に海賊や武装組織を潤しているだけではない。海賊による収入がインフラ整備などの「公共事業」にまで使われているようなのだ。ここまで構造化してしまうと、別の産業への転換も難しいだろう。

だが、わずかながら改善の兆しもある。MSFや赤十字が活動停止した一方で国連事務所が17年ぶりに開設された。

ソマリア首都に事務所開設=国連、17年ぶりの拠点

国連は24日、内戦状態が続いてきたソマリアの首都モガディシオに政務事務所を開設した。同事務所はこれまでケニアの首都ナイロビに置かれていた。ソマリアに国連の拠点が置かれるのは17年ぶり。
 マヒガ国連事務総長特別代表(ソマリア担当)は空港で暫定政府首相らの出迎えを受け、「事務所の開設がソマリアの未来にとって新たな希望の幕開けとなるよう心から期待する」と語った。

また、日本のJICAも避難民支援に乗り出すという。

21年ぶりにソマリアで事業 JICA、避難民支援へ

 国際協力機構(JICA)が今月、内戦が続くソマリアの首都モガディシオの国内避難民を対象に、国際移住機関(IOM)に委託し、飲み水や衛生に関する啓発活動などの事業を始めることが16日までに分かった。JICAのソマリア国内での事業は、同国が無政府状態に陥った1991年に打ち切って以来、約21年ぶりという。

 JICAケニア事務所によると、モガディシオや周辺の避難民キャンプで3月まで、安全な飲み水に関する啓発を行うほか、避難民への給水に関する調査を実施する。

海軍など軍事力による対応が、対処療法・応急処置だとすれば、こうした動きは体質改善やリハビリと言えるだろう。すぐに効果は出ないものの、長期的に行えば「病気」そのものに打ち勝つ体を手に入れることができる。

 さらに、周辺海域に広がる「ソマリア海賊」への対処の動きも出てきた。これは人類社会、自由な海洋に巣食う「病魔」への感染予防と言えないこともない。

インド洋パトロール強化で合意=ソマリア海賊対策-海保

 海上保安庁とインド沿岸警備隊は27日、インド近海でのソマリア人海賊対策として、沿岸警備隊がパトロールを強化することで合意した。
 ニューデリーで海保の鈴木久泰長官と沿岸警備隊のムラリダラン長官が会談した。


日本インド海上保安機関長官級会合:広範な連携強化で合意

海上保安庁長官の訪印及び日印海上保安機関長官級会合の結果について

これは、巡視船「せっつ」の東南アジアおよびインド派遣に伴うものだ。合わせて長官も訪問し長官級会合を行ったのである。

東南アジア周辺海域への巡視船せっつの派遣について

海上保安庁では、アジア各国との海賊及び海上テロ対策に関する相互連携協力推進の一環として、次のとおり、巡視船をシンガポール共和国、インド及びマレーシアへ派遣します。
派遣期間中、往路復路の公海上においては、海賊行為等に対する巡視警戒・情報収集活動、必要に応じて海賊行為への対処を行います。
最近は、ソマリア周辺海域で発生した海賊事案がインド近海でも発生するようになってきており、我が国と中東地域を結ぶ重要な海上交通路に位置するインドとの本分野における更なる連携の強化は非常に重要との認識の下、インド海上保安機関と連携訓練を行うこととしております。
さらに、マレーシアでは同国海上保安機関の海賊対策の普及・啓発等を含む人材育成・人材交流を目的として、(財)海上保安協会が日本財団の助成事業として実施する「東南アジア海上保安機関の能力向上啓発」事業に協力することとしています。

2 インド海上保安機関との連携訓練
(1)目的・概要
海上法執行能力の向上を目的として、海賊等の海上犯罪の容疑船の捕捉(容疑者の制圧を含む。)、立入検査、犯罪被害者の救助等を内容とする訓練を実施する。
(2)実施日、訓練海域及び参加機関
平成24年1月29日(日)
海上保安庁及びインド海上保安機関

3 「東南アジア海上保安機関の能力向上啓発」事業(マレーシア海上保安機関職員を対象とした乗船研修)
(1)目的・概要
マレーシア海上保安機関の職員を巡視船せっつに乗船させ、海賊取締りを含む海上法執行業務の基礎的知識に関する講義、想定事案に関する事例研究、課題研究発表、巡視船の運航に関する研修等を実施することにより、マレーシアにおける海上保安機関の能力向上啓発を図る。
(2)実施日及び参加機関
平成24年2月7日(火)から9日(木)
マレーシア海上保安機関

インドだけでなくマレーシアも訪問する予定だ。両国のカウンターパートはいずれも海保との関係が深い。インド沿岸警備隊との協力関係が築かれたきっかけは、1999年のアロンドラ・レインボー号海賊被害事件である。この事件では、海保が即座に巡視船航空機を派遣し、各国に「捜索援助」を名目に領海内での行動をも含んだ「協力」を通達した。外交関係者などからはアジア各国の感情を無視した行動と危惧されたが、実際には各国の海軍沿岸警備隊関係者はこの「協力」の連絡で士気が上がり、最大限の協力を得ることができたのである。そのなかでもインド沿岸警備隊と海軍は偽装された被害船を発見(漂流している乗員たちも別の海域で無事発見されている)。追尾拿捕に成功したのである。それ以降、海上保安庁とインド沿岸警備隊は毎年相互に訪問し合同訓練を行っている。また、東京湾で行われる海上保安庁観閲式にもゲストシップとして度々参加している。

一方、マレーシアの沿岸警備組織MMEA(海上法令執行庁)は海上保安庁(とJICA)の支援と指導の下、統合設置された組織だ。ほかにも海上保安庁はフィリピン沿岸警備隊にも支援と指導を行っている。

海賊行為警戒へいざ出航 神戸・海保巡視船

 海上交通の要衝となっている東南アジア海域やインド近海で頻発する海賊行為の警戒に当たるため、第5管区海上保安本部(神戸)の巡視船「せっつ」(3111トン、ヘリコプター1機搭載)が11日、神戸港から出港した。

 一連の活動に「せっつ」が派遣されるのは初めてで、乗組員46人と医師1人が、2月19日まで公海上でパトロールや情報収集をする。マレーシアでは海上保安機関の職員の人材育成にも協力。近海に海賊が出没するインドでは、同国の沿岸警備隊と洋上訓練を行う。

 出港式では、海上保安庁の向田昌幸警備救難監が「任務の重要性を肝に銘じ、緊張感と節度を保って行動してほしい。任務を果たし、元気に帰国することを祈念する」と激励。せっつの酒瀬川清行船長は「各国と連携を強め、一丸となって任務を果たします」と決意を述べた。

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この手の派遣にヘリ1機搭載型のPLHが使われるのは珍しい。五管や「せっつ」にとっても初めてのことだという。PLHでも比較的新しい「りゅうきゅう」の東南アジア派遣でも、なかなか苦労したようであるからインドまでとなるとその苦労はさらに大きいだろう。一昨年、インドから新鋭巡視船「サンカルプ」が神戸に派遣されたことに対する返礼という意味もあるのかもしれない。

関連エントリ:対中連携!?インドコーストガードと海保の合同訓練
インド沿岸警備隊との合同訓練に来なかった人やモノ

「せっつ」出港の様子を撮影された方がブログで写真を掲載されている。

ふくろうの森 巡視船「せっつ」東南アジアへ派遣


インドに派遣された「せっつ」はチェンナイ港沖において同国沿岸警備隊と合同訓練を行った。海上保安庁の「せっつ」及び搭載されたベル212「シーダック」(上記ブログでも説明されているように本来の搭載ヘリは「すま」。「シーダック」は3管区「やしま」から「せっつ」に派遣されたようだ)に対し、インド沿岸警備隊は巡視船艇10隻航空機4機を参加させた。その中には、来日したこともあるヘリ搭載型巡視船「サガー」のほか、高速追跡艇(インターセプター)やホバークラフト、チェタックヘリやドルニエ機も参加していた。インド沿岸警備隊がこの訓練にかける意気込みがうかがえる。

日印連携訓練の実施について




Indian, Japanese Coast Guards conduct joint exercise

As part of strengthening their working level relationship and refine operating procedures, Indian Coast Guard and its Japanese counterpart today conducted a joint exercise 'Sahyog Kaijin XI' off Chennai port. Vice Admiral MP Muralidharan, Director General of the Indian Coast Guard and Admiral Hisayasu Suzuki, Commandant of the Japan Coast Guard witnessed the exercises. Eight Coast Guard ships, two interceptor boats, an equal number of hovercrafts besides three Dornier aircraft and three Chetak helicopters took part in the exercise with the Japanese Coast Guard Ship Settsu (PLH-07). A Singapore delegation from 'Regional Co-operation Agreement to Combat piracy and Armed Robbery at Sea in Asia' also witnessed the exercise, a release said. The exercise was part of the ongoing series of joint exercises based on memorandum of co-operation between Indian Coast Guard and Japanese Coast Guard in 2006.

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India, Japan Coast Guard units demonstrate capabilities

The fleet deployed for the near two-hour exercise included 11 surface units ― Coast Guard ships Sagar, Sarang, Vigraha, Vajra, Rani Abbakka, Sarojini Naidu and Priyadarshini ― high-speed interceptor boats C-151 and C-146, hovercraft H-151 and H-181 and six air units comprising three Dornier aircraft and three Chetak helicopters.

The show ended with an impressive fly-past with the crew of participating units saluting the chiefs of the two Coast Guards.

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訓練名「Sahyog Kaijin」は以前から引き継がれているものだ。Kaijinとは海神のことである。以前には「しきしま」や「やしま」などが派遣されていた。

INDO-JAPAN COAST GUARD COMBINED EXERCISE "SAHYOG – KAIJIN 2006" - 21 - 26 NOV 2006


長官級会合を報じる国内ニュースではソマリア海賊対策についてしか触れられていないが、依然として東南アジアの海賊問題も存在する。ただ、以前のような洋上での襲撃(公海上であれば「海賊」、領海内であれば「海上武装強盗」)よりも沿岸部、停泊中の窃盗事件がメインだ。これらも海賊に含まれるのは違和感があるかもしれないが、冒頭で示したIMBも同じ統計方式である。

日本船舶、2011年の海賊被害は11件 東南アジアで窃盗多く

 2011年に日本の海運会社が運航する船舶が海賊に襲われた事件は、前年より4件少ない11件だったことが1日、国土交通省のまとめで分かった。

 国交省によると、うち東南アジア周辺では計9件。停泊中に係留ロープなどが盗まれる窃盗事件が相次いだ。

 インド洋と紅海で計2件あり、いずれもソマリア海賊とみている。昨年3月、オマーン沖で商船三井運航のタンカーが海賊に乗り込まれた。9月には紅海で、東京マリン運航のケミカルタンカーがロケットランチャーで襲撃されるなど、凶悪化している。

2011年の日本関係船舶における海賊等事案の状況及び世界における海賊等事案の状況について
海保と各国の海賊対策への取り組みが洋上での(本当の意味での)「海賊(海上武装強盗)」被害を減らしたといえるだろう。しかし、それでも海上での犯罪はまだ多い。今後も地道な取り組みが求められている。

追記:フィリピンには11管のファルコン900が派遣されたようだ。記事では「南シナ海」問題がメインであるかのように扱われているが、実際には海賊や海上犯罪・海難など広範囲にわたって海上保安庁が同国沿岸警備隊を支援している。

海保機、マニラに 南シナ海で協力強化

 第11管区海上保安本部(那覇)の航空機が30日、フィリピンのマニラ国際空港に到着した。海賊対策など南シナ海の安全をめぐり、フィリピン沿岸警備隊と協力強化を図る一環。

 2月1日まで滞在し、南シナ海情勢などについて意見交換。沿岸警備隊員らを乗せて体験飛行を実施し、情報収集や警戒監視の指導も行う。






さて、今回のソマリア派遣について横須賀の友人もネタにしていた記事がある。それは産経の社説だ。

【産経抄】1月25日

 田中直紀防衛相が海賊のことを「人類共通の敵」と呼んだそうだ。ソマリア沖に派遣される海上自衛隊の第11次海賊対処部隊の出港式典でのことだ。いささかオーバーな気もするが、最近のソマリア海賊の動きを見ると世界的な「ならず者」であることは間違いない。

・・・・言うまでもないが「人類共通の敵」とは国際法上・国際慣習上古くから言われる「海賊」のことであって、けっして「大げさ」でもなんでもない。むしろ国際社会における常識ともいえる。海洋の自由と海上交通の安全を脅かす「海賊」は「ならず者」どころではないのだ。

欧州連合が核兵器開発疑惑のイランに対し、同国石油の全面禁輸方針で譲歩を迫った。これに対しイランが「それなら海峡封鎖だ」と警告してきたからだ。ペルシャ湾岸からの石油積み出しを武力で阻止するという脅しだ。これも一種の「海賊」行為といっていい。

逆にこちらは「海賊行為」で済まされる問題ではない。イラン海軍・革命防衛隊水上部隊の訓練を見れば単なる封鎖ではなく、「通商破壊」も伴っているものだと分かる。これは「経済制裁」等の一環として行われる「平時」の海上封鎖と異なる「戦時封鎖」に匹敵する。いわば「戦争」行為である。

どうやらこの新聞には国際社会の常識は備わっていなかったようだ。

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tag : 海上保安庁 海上自衛隊 海賊行為 ソマリア インド フィリピン

2012-02-04 : 各国沿岸警備隊 : コメント : 1 : トラックバック : 0
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No title
3年前、第1次の護衛艦部隊の壮行会で麻生総理が言って、
平和の方から「ソマリアの漁民は人類じゃないのか」とか
噛みつかれてましたね

まさか産経が忘れてるとは
2012-02-10 11:33 : 人類共通の敵 URL : 編集
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