反捕鯨宣伝に東日本大震災を利用するシー・シェパード

日本が調査捕鯨の実施を表明したことに対し、いわゆる反捕鯨国からは非難の声が相次いでいる。

豪・NZ両政府、日本の調査捕鯨継続を非難

ニュージーランドのマカリー外相は5日、日本政府が調査捕鯨継続を表明したことについて、「ニュージーランドやオーストラリアの国民の強い懸念をまったく尊重していない」と非難した。

 調査捕鯨の科学的データ収集の目的についても「非常に疑わしい」と疑念を示した。

 豪政府は4日、日本の調査捕鯨継続についてラッド外相、バーク環境相、マクレランド法相の連名で非難声明を出し、「あらゆる商業捕鯨に反対する」とした上で、「外交的に解決できない場合は法的措置を追及する」と表明、国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)での決着を目指す方針を示した。

豪州・NZは以前より反捕鯨の立場であり、今回も当然の反応といえる。

 さらに、フランスも口を出してきた。

フランス 日本に対して南極捕鯨取り止め要請

 フランス外務省のベルナール・ワレロ報道官は、日本に対して南極での捕鯨を取りやめるよう公式に要請したことを明らかにした。ワレロ報道官は、国際捕鯨委員会において捕鯨禁止海域を定める決定を促したのは他ならないフランスであることを指摘している。

同国こそ、いわゆる「サンクチュアリ」の決定を進めたと述べているが、実はそれこそ現在の非科学的論争の原因なのだが・・・。

 この記事では「特に日本の捕鯨船には数隻の軍艦が護衛にあたることとなっている。」としているが、言うまでもなくこれは全くの誤りである。軍艦(護衛艦)どころか巡視船の警護すらつかない。今のところは水産庁の「監視船」(おそらく取締船)が随伴するだけだ。

一方、旧ソ連時代に大規模な船団捕鯨を行っていたロシアでは別の反応もある。

捕鯨問題:まだ保護すべきか、それとも食べ頃か

 日本はいままで「食文化における人種差別」を許さない、という立場をとってきたが、ロシア漁業監督庁のアレクサンドル・サヴェリエフ報道官はこれについて次のように述べている。

―日本の立場は確かに理解できるものです。しかし、特別な保護を必要とするものが存在することも事実です。鯨もそのような存在なのです。国際捕鯨委員会の枠内で調査捕鯨は認めていますが、日本が商業捕鯨に復帰できるのはまだまだ先のことでしょう。ロシアに関していえば、チュコト半島での例を挙げることができます。そこでは、鯨が地元民族の食文化において不可欠な食料となっていますが、個人的に消費する場合に限り、捕鯨が許可されています。ロシアは国際捕鯨委員会の取り決めを厳守しており、ほかの国もそれに倣うことを呼びかけています。

 しかし一方で一部の学者らは、商業捕鯨再開があり得ると考えている。漁業海洋研究所のアレクサンドル・ボルトネフ氏は、商業捕鯨が禁止されている間、鯨の数は事実上回復し、10年ほど経てば、商業捕鯨を参加しなくてはならないとの考えを示している。「そうでなければ、人間と鯨は海洋資源をめぐって争いあう存在となるでしょう。」


調査捕鯨そのものへの非難はなく、論点は「いつ鯨を食べられるのか」すなわち商業捕鯨の再開はいつになるのか、ということである。

しかし、反捕鯨国家の旗手、オーストラリアの主張はあくまで日本が「違法な商業捕鯨」を行っている、というものだ。

日本の調査捕鯨継続を非難=豪

日本の調査捕鯨は科学的調査を装った商業捕鯨だと主張。外交的な解決が見いだせない限り「法的措置を追求する」とし、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)での対日捕鯨訴訟を続ける方針を改めて示した。


「調査捕鯨」こそ事実上の「商業捕鯨」となっているのだという。しかし、それもおかしな話だ。日本の調査捕鯨ではIWCで認められている上限数にも届いていない上、調査費用を確保するために調査後の鯨肉の販売が認められている。反捕鯨国家・団体はこのように「事実上の商業捕鯨」と非難する一方で、鯨肉販売が日本国内で商業的に成り立っていないことも主張しており、明らかな矛盾だ。

 また、ニュージーランド外相は調査捕鯨そのものの科学的価値に疑問を呈している。こうした疑問は過去から存在しており、捕殺を伴わない代替的手段、非殺傷調査も提案されている。

クジラは殺さなければ科学的な調査はできないか?

実際、豪・NZは非殺傷調査を合同で実施した。

オーストラリアとニュージーランドが 鯨を殺さない生態調査実施(NHK 2010/2/2)

日本の調査捕鯨に反対しているオーストラリアとニュージーランドが、鯨を殺さずにその生態を調べる初めての合同調査に乗り出し、2日、南極海に向けて出航しました。

この合同調査はオーストラリアとニュージーランドが初めて行うもので、両国の研究者などおよそ40人を乗せた調査船は、2日、予定よりも1日遅れでニュージーランドの首都ウェリントンの港を出航しました。6週間にわたる調査では、鯨に発信器をつけたり、皮膚の一部を採取するなどして、南極海における鯨の分布や生息環境、さらに、気候変動が鯨の生態に与えている影響について調べることにしています。この合同調査は、日本が続ける調査捕鯨の必要性を否定するのが最大のねらいで、出航に先立って行われた式典で、オーストラリアのギャレット環境相は「捕鯨をめぐる議論を進展させるためには、鯨を殺さなくても科学的な調査ができることを示す必要がある」と述べ、日本の調査捕鯨をあらためて批判しました。


しかしその後、継続的な調査を実施しているという話はない。オーストラリアは調査捕鯨が行われている南極海(公海)を自国の排他的経済水域と主張しているにもかかわらず、資源管理にはそこまで熱心ではないようだ。本当に豪州南極領やそれに付随したEEZを守りたいのなら、海洋調査や沿岸警備体制にもっとコストを掛けるべきだろう。シー・シェパードのような組織に頼るべきではない。

一方で、調査捕鯨でも非殺傷調査が行われていることについては鯨研自身も反捕鯨派も、あまり語りたがらない。鯨研にとっては代替手段の存在を認めると受け止められかねないという危惧があるのだろうし、反捕鯨派にとっては調査捕鯨が「鯨の殺戮」でなければ困るのだろう。

 ニュージーランドも同様に日本を非難したが、その一方で妨害を表明したシー・シェパードに釘を刺すことも忘れなかった。やはり、国際捕鯨委員会総会での議決の効果が出たとも言える。実際的な抑止効果はほとんどないだろうが。

NZも調査捕鯨継続を非難 「懸念尊重せず」と外相

マカリー氏は、日本側が南極海での捕鯨を調査目的としていることを「非常に疑わしい」と指摘。一方、反捕鯨団体「シー・シェパード」が今回も妨害行為を続ける意向を示したことなどから、互いに人命に危害を加える行為は避けるよう警告した。



そのシー・シェパードだが、日本を非難する際に東日本大震災を引き合いに出している。

調査捕鯨 今年度も継続の方針

日本政府が調査捕鯨の継続を決めたことについて、反捕鯨団体「シー・シェパード」は声明を発表し、「日本は世界各国から東日本大震災への支援を受けたにもかかわらず、そうした好意に反して捕鯨を再開した」として、厳しく非難しました。そのうえで、「いかなる危険を冒しても調査捕鯨をやめさせる」として、引き続き激しい妨害活動を行うことを示唆しました。


NHKニュースでは表現が弱められているが、実際にはもっと強い調子で全く事実に基づかない言いがかりを行っているのだ。

【シーシェパード宣戦布告】作戦名は「カミカゼ」 3隻の抗議船で妨害へ 太地と2面作戦展開

過激な声明を出し、「もしわれわれの妨害を止めるなら、われわれを殺害しなくてはならないだろう」と述べ、日本のクジラ禁漁区(★南極海は商業捕鯨の禁漁区であり、調査捕鯨をする権利は認められている)への侵略と「傲慢な強欲」を止めるために、「われわれは自らの生命を危険におかしてまでも、妨害を行う」と〝宣戦布告〟しています。

 ワトソンが毎年、こうした挑発を行うのは、季節行事のようになっていますが、今年、ワトソンは何度も、東日本大震災を例に取り、日本を挑発しています。

 今回の声明でもこんなことを言っています。

「日本人は悲劇の犠牲者を救うためにに外国の援助を受け入れた。そして、今は、南極海のクジラ禁漁区で無防備のクジラを襲う違法で、非常識な大虐殺(massacre)を永久に続けるために、この援助資金を移し替えている」

日本が海外からの援助金で調査捕鯨を行っているというのだ。全くの事実に基づかない主張である。

彼らにとっては日本で被災者が今でも苦しんでいる東日本大震災も、日本を罵る為のネタでしかないのだ。彼らは日本の苦しみと支援した諸国の行為を利用して日本の印象を悪くしようとしている。

 東日本大震災や最近の豪雨被害を「捕鯨しているから当然の報いだ」と主張し、日新丸の救援活動も、捕鯨妨害をして中断に追い込んだ自分たちのおかげだから感謝しろと言い、あまつさえ、救援金流用の捏造である。


こうした主張は反捕鯨グループに結構広まっているようだ。

つまり、震災(津波)で被災した地域には捕鯨基地として有名な石巻(鮎川)が含まれる。そうした捕鯨関連の施設や人々に復興援助などするな、というわけである。

調査捕鯨船、釧路を出港 石巻の被災業者も参加

 北海道・釧路沖のミンククジラを対象とした調査捕鯨船が26日、釧路市の釧路港を出た。東日本大震災で被災した日本有数の沿岸捕鯨基地、宮城県石巻市の鮎川地区の業者も乗り込んだ。

 調査は、捕鯨業者の団体が水産庁の許可を受けて毎年実施。春は鮎川港を拠点に三陸沖を、秋は釧路港を拠点に釧路沖を調べる。鮎川港の捕鯨船や解体施設が被災し、今春は釧路沖に変更した。今回の調査には、鮎川地区の船員や陸上で解体作業などに従事する計約30人が参加している。

 捕鯨歴50年以上の奥海良悦さん(69)は「クジラの町で育って今回も元気で働けるのはうれしい。生活の基盤ができれば、鮎川の復興につなげられる」と力を込めた。


石巻から釧路に移行の調査捕鯨、待望の1頭捕獲

 東日本大震災の影響で、宮城県の石巻沖から、北海道の釧路沖に調査海域を移して行われているミンククジラの調査捕鯨で、4日に待望の1頭目が捕獲され、雪の舞う釧路港に水揚げされた。

 総勢約50人の調査団には、被災した石巻市鮎川港の捕鯨関係者約30人が加わっている。自身も津波で自宅を流された同市の捕鯨会社「鮎川捕鯨」の営業課長伊藤信之さん(48)は「避難所でがんばっている皆さんに、ようやく1頭目が取れましたと報告したい」と喜びを語った。

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捕鯨を復興の足掛かりに 石巻などの4隻、調査へ出港 釧路沖

釧路沖でミンククジラを対象とした秋の調査捕鯨7 件が9日始まり、調査船4隻が釧路港を出港した。

 捕鯨業者でつくる地域捕鯨7 件推進協会(福岡)が、水産庁の許可を受けて実施。例年、春に宮城県石巻7 件市の鮎川沖、秋は釧路沖で行っているが、今春は東日本大震災で鮎川の捕鯨基地が壊滅状態のため、海域を釧路沖に変更して実施した。

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釧路:秋季調査捕鯨スタート 被災の石巻の船も参加

 釧路沖の太平洋でミンククジラを捕獲する今年の秋季調査捕鯨が9日、釧路港を拠点にスタートした。初日は濃霧のため水揚げはならなかったが、今回は東日本大震災の津波で被災した宮城県石巻市の捕鯨会社「鮎川捕鯨」グループの捕鯨船2隻がようやく参加。関係者は「もう出漁は不可能と思っていたから、本当に感慨無量」と顔をほころばせていた。

 釧路沖では02年以降、釧路港から半径50カイリ(約90キロ)の海域で調査捕鯨が実施されており、今年は通算10年目。春季調査捕鯨の拠点・鮎川の被災を受けて、今年4~6月には釧路初の春季調査も行われたが、鮎川捕鯨グループの船は津波被害に遭って修理が間に合わず、参加できなかった。

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2011年度第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(沖合調査)が終了

水産庁は、2011年度の第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(沖合調査)が終了したと発表した。
 北西太平洋鯨類捕獲調査は、国際捕鯨委員会(IWC)を設置した国際捕鯨取締条約第8条に基づき実施している調査。
 1994年から99年までミンククジラの系統群調査を主目的とした第一期調査が行われ、00年からは鯨と漁業の競合関係の解明を目的とした第二期調査が行われている。
 公表によると、ミンククジラ49頭、イワシクジラ95頭、ニタリクジラ50頭、マッコウクジラ1頭を捕獲。今回は、独立行政法人水産総合研究センター所属の北光丸が餌環境調査船として参加し、計量魚探とトロールやプランクトンネットによる餌環境調査を実施し、多くの情報が得られ、今後詳細な解析を行うことにより、イワシクジラを中心とする鯨類資源の分布とその餌生物や海洋環境との関連が明らかになることが期待されるとしている。



こうした日本周辺海域での調査捕鯨には被災地域の水産業者が参加している。復興への象徴にもなりつつある。これを復興資金を調査捕鯨に使っていると主張することも出来なくはないだろう。

しかし、これは海外からの援助金ではなく日本自身の資金で行っているものだ。

だが彼ら(反捕鯨団体)は、震災復興を理由に(南極での)調査捕鯨に予算を付けるべきではないと主張している。結局は、被災地をダシにしているだけである。このIKANという組織こそ、コーヴの撮影やシー・シェパードを日本に引き入れた張本人だ。

野田さん!問題の多い調査捕鯨ではなく、震災の被害者、とりわけ福島の子どもたちにこそ予算を使ってください

それでなくとも、地震、津波、そしてこれまで例のないような原発事故により、被災者に必要な補償を行えば、国が傾くほどの状態にいるのです。
一部のメンツのために、国際的にも多くの問題を抱えた調査捕鯨に予算を使うべきではないのではないでしょうか。
お金が余っているなら、ぜひとも福島の子どもたち支援のために使っていただきたいものです。



都合のいいときには被災者を引き合いに出し、都合の悪い被災者の存在は消す。それが彼らのやり口だ。


また、シー・シェパードは南極での調査捕鯨を妨害し、太地町のイルカ漁に嫌がらせを続けている一方で、上記のような日本近海での調査捕鯨妨害や被災地での抗議活動はほとんど聞かない。おそらく、南極や「コーヴ」の舞台となった太地町と異なり国際的な知名度が低く、被災地での活動のやりにくさ等から、抗議・妨害の対象としてはいないのだろう(ひょっとしたら、ちょうど訪問した際に津波に遭遇したことがトラウマになっているのかもしれないし、被災地での活動が国際的な非難にさらされるかもしれないと「空気を読んで」いるのかもしれない?一時期、気仙沼のフカヒレ工場が標的にされていたが、さすがに今は鳴りを潜めている。)。

日本にとっては、近海で活動してくれたほうが取り締まりのハードルが下がるので歓迎したいところなのだが。

彼らは鯨を守るといいながら、やはり自分たちの都合が悪い「捕鯨」の存在も無視しているのだ。彼らの抗議活動こそ「商業反捕鯨」とすべきだろう。 このエントリーをはてなブックマークに追加

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2011-10-08 : 捕鯨・環境問題 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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調査捕鯨船団に護衛船の派遣が決定

シーシェパードの妨害が激化したことを理由に中止された南極海での調査捕鯨だが、今期も実施されることとなった。そしてついに調査捕鯨船団を護衛するため日本政府が船を派遣するという。

ただし、農水省・水産庁が繰り返し要請していた海保巡視船ではない。

調査捕鯨、今冬も継続 反捕鯨団体の妨害阻止へ監視船派遣 鹿野農水相

 鹿野道彦農林水産相は4日の定例会見で、例年11月から始まる南極海での調査捕鯨について、今季も実施する方針を明らかにした。米国の反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の妨害活動が予想されることから、水産庁の監視船を派遣するなどして対策に当たる。調査捕鯨に監視船を派遣するのは初めて。

 鹿野農水相は「商業捕鯨をわが国が目指していくのは前提であり、調査捕鯨は継続していかなければならない」と表明。妨害対策の具体案については、さらに協議を重ねるとした。

水産庁が自前で船を出すことになった。

水産庁といえば、違法操業取締りのために取締船を多数保有しており、その中には長距離長期活動が可能な大型船も含まれる。

例えば、東日本大震災の救援活動で活躍した「東光丸」は2000トンを越す大型船でインド洋や大西洋まで任務で赴いている。

関連エントリ:水産庁・漁業取締船の救援・救出活動
水産庁/東光丸

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当ブログ(旧ブログ)で、主張していたことがある意味実現するわけだ。

関連エントリ:岐路に立たされるアイスランドの商業捕鯨・日本の調査捕鯨

巡視船の派遣を推す声も強い。ただ、このブログで何度も検討したように即座に実効性を伴う派遣は法的・勢力的にも難しい。警察比例の原則上、火器の使用はほとんど不可能だ。巡視船を派遣したとしても妨害船の船籍国から同意を得られていなければ、移乗して検挙というわけにも行かない。巡視船が派遣されたとしてもできることは捕鯨船団が行っていた自衛手段を大きく超えるものにはならないだろう。それこそ、水産庁が自前の取締船を派遣してでも可能なことなのである。


ただ、ここで気になるのが農水相が言ったのは「取締船」ではなく「監視船」であるという点だ。中国漁政と違い日本の水産庁の船はあくまで「取締船」である。単に農水相の言い間違いの可能性もあるが、海保以上に隻数とやりくりが厳しい水産庁取締船を派遣するのは難しいため、より航洋能力の高い船が多い水産庁漁業調査船を「監視船」として派遣する可能性がある。例えば調査船「開洋丸」は調査捕鯨と関連した調査を南極海で行った経験がある。

南極海での総合的生態系調査に出発 水産庁漁業調査船開洋丸が出航

 2005年3月22日まで、南極海で鯨類の餌生物ナンキョクオキアミを中心とした生態系調査を実施する水産庁の漁業調査船開洋丸(2,630トン)が04年12月6日14時に東京の晴海埠頭から出航することになった。


2004/05年南極海鯨類捕獲調査(JARPA)の結果について

 第Ⅴ区東側海域では、水産庁の漁業調査船開洋丸と連携して南極海生態系総合調査を共同で実施しました。調査対象としたロス海は、近年ではまれにみる広範な開氷域が形成され、開洋丸と連携してロス海を広く調査できたことにより、オキアミを鍵種とする南極海生態系の構造の解明並びに南極海の環境変動による鯨類及びオキアミ資源への影響の把握に必要な貴重な資料を収集できたと確信しています。


同船もやはり東日本大震災において救援物資の輸送などを行っている。総トン数も「東光丸」と同クラスの2630トンで、監視・警備用に機材(監視カメラ・高速複合艇・放水銃・LRAD等)を増設すれば、取締船と同様の運用も可能だろう。

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また、民間船の傭船も考えられる。水産庁には契約を結んだ水産会社の船が多数、取締船として所属しており、それには捕鯨に使われる目視船も存在していた。今回、もともと捕鯨船団に随伴する目視船・キャッチャーボートを取締船・監視船として傭船すれば、長期航行・運用上のリスクはかなり軽減される。公船としての資格と水産庁の監視要員が与えられれば形の上では「監視船派遣」ということになるだろう。

ただし、それでは捕鯨船団が自前で目視採集船を警備任務に当てていたのと大きな差はない。

公海上であり警備には制限が多いとはいえ、農水省・水産庁にとっては海保の武装した巡視船や海上保安官、搭載されたヘリが望ましいのは当然ともいえるだろう。水産庁の船ではヘリを搭載したシーシェパードの抗議船と捕捉能力に大きな開きが出てしまうからだ。

そういったこともあってか農水省は水産庁「監視船」以外にも対策を練っているようだ。

南極海調査捕鯨:今年度も継続 水産庁、監視船派遣へ

 鹿野道彦農相は4日の閣議後会見で実施の方針を示した上で、乗組員の安全対策について「水産庁の監視船を派遣するほか、関係省庁と詰めていきたい」と述べた。


いまだ、海保巡視船の派遣も諦めていないらしい。

南極海の調査捕鯨継続へ SS対策で監視船同行

鹿野農水相は水産庁の監視船を同行させる考えを示したが、水産庁が要請していた海上保安庁の巡視船派遣については「内閣官房で詰めている」と述べるにとどめた。


しかし、海保にとって巡視船の派遣はかなりハードルが高い。

農相、調査捕鯨を今冬も継続表明 監視船派遣し、安全強化

 鹿野農相は商業捕鯨を再開するためには、調査捕鯨の継続が不可欠と指摘。反捕鯨国から批判もあるが「わが国の考え方を主張していきたい」と述べた。安全対策では農林水産省が海上保安庁に巡視船の派遣を要請していたが、海保側は難色を示していた。


なぜ、海保がここまで巡視船の派遣に否定的なのか。

言うまでもないが、東日本大震災と尖閣諸島問題があるからだ。ほとんど報じられていないが東日本大震災の捜索活動及び洋上救急支援は今でも続けられているし、尖閣諸島周辺海域には中国の漁政や調査船が頻繁に、本当に頻繁に出没している。これらの任務・対策に欠かせないのが長期行動とヘリの運用が可能な大型巡視船(PL/PLH)である。

こうした巡視船が調査捕鯨の護衛で長期拘束されることになれば、東北・尖閣以外でも海保の業務にかなりの支障をきたすこととなる。

また、船団側と海保の警乗部隊の「護衛」に対する認識の違いが過去に明らかとなっている。船団側は海保部隊が持ち込んだ小銃などを使ってシーシェパードに対し銃撃まで行って警備することを期待していたが、あくまで海保の派遣人員は少数であり直接の「警護」よりも「警告」や「採証」を重視したものだった。

海保にとっての「警備」の達成とは「何も起こらないこと」であり、それを実現するためには「危険を回避する」ことが求められる。海保にとって妨害が予想される海域に自ら乗り込んでいくなど、やりにくくてしょうがないのであろう。

どちらにせよ、現状では海保巡視船の派遣は困難である事に変わりはない。おそらく今回も少数の警乗部隊派遣にとどまるものと思われる。 このエントリーをはてなブックマークに追加

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2011-10-05 : 捕鯨・環境問題 : コメント : 13 : トラックバック : 0
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差し押さえで資金を稼ぐシー・シェパード、根底にある意識

以前のブログでシー・シェパードの妨害船「スティーブ・アーウィン」が英国裁判所によって差し押さえられてことをお伝えした。

関連エントリ:IWCで名指し非難されたシーシェパード、差し押さえられる

同船は、もともとスコットランド漁業保護庁SFPAの漁業取締船で、現在はシー・シェパードの海上戦力である自称「ネプチューン艦隊」の旗艦的存在だ。

関連エントリ:シーシェパードのスティーブ・アーウィン号は元軍艦?

同船が差し押さえられたことによってシー・シェパードの海上活動にかなりの制限が出てくることが期待された。

当然、シー・シェパード側も支持者に支援(具体的には「金」)を呼びかけた。

反捕鯨船差し押さえ=漁網破り訴訟中-英裁判所

 タイムズ・オブ・マルタ紙(電子版)によると、SSは昨年、リビア沖でクロマグロ漁をしていた地中海の島国マルタの漁船の網を破り、約600匹を逃がした。これに対し船主側がSSを相手取り、旧宗主国である英国の裁判所に損害賠償請求訴訟を起こしていた。
 クロマグロ保護を訴えるSSは、漁船は違法操業をしていたと主張。また、預託金約140万ドル(約1億1000万円)を納めなければ抗議船を取り戻せず、日本の調査捕鯨船などからクジラを守れなくなる恐れがあるとして、ウェブサイトを通じ、支持者らに寄付を求めている。

「シーシェパードの船を助けて!」Facebookに投稿したカナダのロックバンドに賛否両論の嵐。

「シーシェパードの船を助ける手助けをしてほしい。スティーブ・アーウィン号が君らの助けを必要としているんだ。アニマル・プラネットのTV番組『Whale Wars』を見てシーシェパードを知っている人もいるだろう。ポール・ワトソン船長が率いるこのシーシェパードは、航海しながらイルカ、鯨、鮫などの殺害を阻止しようとしているんだ。」

この投稿には7月15日に英国で航海を止められてしまったというスティーブ・アーウィン号に関する記事が添付されており、それを見た多くのファンらがニッケルバックに猛烈に反発した。

「もうニッケルバックのファンはやめるぜ」「悪いけど、ニッケルバックにはバイバイを言う時期だわ」「さよなら、ニッケルバック。こんな人をサポートする君達のファンなんてやってらんない」

このような多くの反発コメントと並び、「サポートしてくれてありがとう!」と彼らのシーシェパード擁護を絶賛するコメントも多くあり、双方の言い分が真っ二つに割れている状態である。

こうした募金・・・というより集金活動は彼らの得意技だ。いや、むしろこうした他人の金で活動しているのが彼らの本質である。

シー・シェパードの底力 募金総額2週間で約4000万円 抗議船救出キャンペーンで

 シーシェパードはこの思わぬ危機に、全世界にいるサポーターへ「SAVE OUR SHIP(私たちの船を救ってくれ)」を訴え、緊急募金を呼びかけました。

 キャンペーンを始めてから2週間、そして、供託金を納める最終期限を2週間あまりにして、その募金額が50万ドル(約4000万円 全体の37%)ほどになったというのです。

 あくまで、シーシェパードが発表した数字なので、いつも虚偽報告を行う彼らの事ですから、正確な数字ではないかもしれませんが、たった2週間でそんな大金が集まったことは決して見逃す事はできません。

いままで「クジラ・イルカを救え!」「マグロを救え!」と言っていた団体が今度は「俺たちを救え!!」と言っているのだからおかしな話ではあるのだが、そんなものにお金を出す人は世界に結構いるらしい。

反捕鯨団体に5600万円の寄付=差し押さえの抗議船取り戻す

【シドニー時事】反捕鯨団体シー・シェパード(SS)は2日、英国で争われている損害賠償訴訟で差し押さえられたSSの抗議船「スティーブ・アーウィン号」を取り戻すために必要な52万ポンド(約6500万円)の預託金を払い込んだことを明らかにした。SSのウェブサイトによると、2週間足らずで約5600万円以上の寄付が集まったという。


 どうやら、ワトソンは必要な供託金を大目に発表し、さらなる資金を得たようである。

「救え救え詐欺」で集められたお金が、シーシェパード幹部の懐に落ちていく

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2011-09-18 : 捕鯨・環境問題 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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